その8、焦げたものは避ける

突然変異を引き起こす

肉や魚を焼いて焦がすと香ばしくおいしさが増す反面、焼き焦げた部分に変異原性物質(遺伝子を傷つける物質) が複数含まれることが確認されています。
焼き焦げに含まれる発がん物質は、調理温度が高く、調理時問が長いほど量が増え、とくに肉や魚を直火やフライパンで焼いて焦がした場合に多くできます。
また、でんぷんや糖(もちやせんべい) などの「おこげ」も変異を引き起こす原因となる物質が含まれています。世界がん研究基金の「がん予防のための提言」では「焦げたものを食べない。肉汁を焦がさない。直火で焼いた魚や肉、塩漬けや薫製の肉を控える」となっています。
しかし、焦げた魚や肉の1食分で口に入る発がん物質の量はわずかですし、焦げた部分だけを食べるわけではありませんから、それだけでがんが進行するわけではありません。よって、あまり神経質になる必要はありませんが、焦げた部分をたくさん食べないようにしましょう。

その7、塩辛いもの、熱いものは控える

胃や食道をいたわる

日本人の代表的ながんに胃がんがあります。この胃がんに密接な関係があるとされているのが塩分の摂取です。日本人の疫学調査で、食塩摂取量が多い男性ほど胃がんのリスクが高いという研究結果も出ています。
食品中の塩分濃度が高いと胃壁を保護している粘膜が溶かされ、胃酸の働きが弱まり、がん化の下地ができてしまうのです。
1日に摂取する食塩の望ましい量は10g以下とされています。(世界がん研究基金による「がん予防のための提言」では「1日6g以下」)。
高血圧など生活習慣病予防においても、減塩は広く啓蒙されています。

血圧を上げない食事をする

また、熱い茶がゆを食べる地方に食道がんが多いという報告があります。食塩と同じく、熱いものはがんを発生させやすくしてしまいます。あつあつの料理はおいしいものですが、あまりに熱いものは少し冷ましてから食べましょう。

その5、たばこは厳禁

たばこと肺がんの関わりはよく指摘されていますが、たばこの煙は発がん物質のかたまりです。発がん物質のほか、その疑いのある物質を数十種、細胞のがん化促進物質を数百種も含んでいます。
たばこの煙は肺だけでなく、口、鼻、のどを通り、一部は唾液に溶け込んで食道を通ります。体内で代謝されて、尿中に排泄されるまで勝胱にもとどまっています。
たばこの害は肺だけでなく、口から入って排泄されるまでに通過するさまざまな臓器をがんの危険にさらしているのです。また、吸う本人だけでなく、周囲の人にも煙をまき散らし、発がんのリスクを高めてしまっています。
妻が吸わなくても夫が1日20本以上吸う場合、喫煙しない夫をもつ妻と比べて肺がんの死亡率が2倍も高いという報告もあります。
吸いはじめる年齢が低いほど肺がんにかかりやすいこともわかっています。乳幼児や未成年者の周囲、あるいは吸わない家族に対しても、場所を離れて吸う気配りが必要です。「がん予防のための提言」には「たばこを吸わない」ときっばりと善かれています。禁煙を心がけましょう。