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キロサイド(一般名:シタラビン)

白血病の特効薬として、また今後リンパ腫にも

製造・販売元
日本新薬株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 消化器ガン
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 女性器ガン
  • 膀胱腫瘍
用法
静脈内に点滴投与、またはワンショットで投与する。1回の点滴に要する時間は30分~1時間程度。膀胱腫瘍の場合は、膀胱内に注入する。
有効率
60.7%(急性白血病)、39.2%(消化器ガン)、72.7%(女性器ガン)、30.6%(膀胱腫瘍)など
副作用
  • 悪心
  • 食欲不振
  • 膀胱内注入の場合、白血球減少、膀胱刺激症状
コスト
4,125円
禁忌
キロサイドに対する重篤な過敏症の既往歴のある患者。

キロサイドの紹介

キロサイドは最も古くから使われている薬の1つで、1940年代から使用されています。急性白血病や肺ガン対して、代表的な薬の1つとして知られています。現在も中心的な薬の1つです。

急性白血病など60%の有効率

キロサイドは、静脈内に点滴投与またはワンショット(1回)で投与します。アメリカでは早くから認められていた、中等度もしくは大量の投与が、最近日本でも認められるようになり、有効率が高くなってきました。

とくに急性白血病や悪性リンパ腫では、60%以上の有効率を示します。

主な副作用としては、悪心、嘔吐などがあります。キロサイドを高濃度に入れますと、中枢神経系、とくに脳脊髄液中に約1% から0.1% 、キロサイドが分布することによって、嘔吐が強く出たりします。

一方で、頭の中にもキロサイドが行きますので、頭の中に病気がある場合でも効果があることがあります。また刺激性が比較的少ないので、脳脊髄液の中に直接、少量の薬を入れる場合があります。これは「髄腔内投与」といいます。

比較的コントロールしやすい薬

キロサイドは、点滴や注射をすると、すぐに血中濃度が上がるという利点があります。逆にいうと、ワンショットもしくは短時問で点滴した場合には、非常に短い時問で血中濃度が高くなります。濃度が低くなるのも早いです。

逆に24時問持続点滴をしますと、非常に長く有効性が保たれます。比較的コントロールがしやすい薬です。キロサイドは、ほかの薬と組み合わせることによって非常に効果を発揮します。併用する薬の代表例としては、急性白血病ではイダルビシンやダウノルビシン、急性リンパ性自血痛では、アドリアシン、リンパ腫では、プラトシンといった白金製剤といっしょに使われます。

血中に投与するものとしては、キロサイドは将来的にもこのまま残っていくでしょう。経口薬としては、スタラシドという薬がQOLを改善するためしに開発されています。また、脂肪にとける形にしたものが現在開発中です。
これは中枢神経に転移したガンや白血病に対して、有効率が非常に高くなっています。現在注目されている薬の1つで、デポサイトとよばれています。
投与中の日常生活
キロサイドの投与中、ほとんどの場合は入院生活をします。外来で点滴をする場合には、約2週間後に白血球減少が非常に強く出ますので、一般には食物や入浴などの制限があります。感染症に気をつけましょう。膀胱内注入の場合には、膀胱刺激症状がありますので、その後出血性膀胱炎や、膀胱炎の症状が出ることがあります。

アドリアシン(一般名:塩酸ドキソルビシン)

最もよく使われる抗ガン剤の1つ

製造・販売元
協和発酵株式会社
対象患者
  • 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキンリンパ種)
  • 肺ガン
  • 消化器ガン(胃ガン、胆嚢・胆管ガン、すい臓ガン、肝ガン、結腸ガン、直腸ガン)
  • 乳ガン
  • 膀胱腫瘍
  • 骨肉腫
用法
  • 静脈内にワンショット投与する。
  • 膀胱腫瘍では膀胱内に注入する。
  • 有効率
    46.7%(リンパ肉腫)50.0%(乳ガン)、59.3%(膀胱腫瘍など)
    副作用
    • 脱毛
    • 白血球減少
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 食欲不振
    • 口内炎
    • 血小板減少
    • 貧血
    • 赤血球減少
    • 心電図異常
    • 心筋障害(心不全)
    • 貧血
    • 出血

    • ショックなど
    コスト
    5630円
    禁忌
    • 心機能異常またはその既往歴のある患者
    • アドリアシンの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

    アドリアシンの紹介

    アドリアシンは抗ガン剤の中でも、最も広く使われているものの1つです。悪性リンパ腫や肺ガン、消化器ガン、肝臓ガン、膀胱腫瘍、骨肉腫、乳ガンなど、たくさんの病気に保険の適用が認められています。アドリアシンは、単剤でも最も有効率の高いものの1つですが、単剤で投与することは少なくなっています。

    他の薬との併用が多い

    乳ガンでは、エンドキサン、5-FUとの3剤併用、悪性リンパ腫では、CHOP療法が標準治療になっています。CHOP療法は、アドリアシンのほかに、オンコピンやエンドキサンやプレドニンといった、4つの薬を併用する治療法です。

    現在では多くの薬剤が、アドリアシンを使った場合をコントロール群と比較試験に用いるくらい有名な薬です。抗ガン剤を開発するときに、アドリアシン単剤とくらべて現在開発中の薬がさらによく効くかどうかということを検討する基準になるというくらい有名な薬剤です。

    投与前に心機能検査が必要

    静脈内に注射で投与することが多いのですが、ゆっくり投与しないとアメリカ人や肥満の方では心筋梗塞をおこした例が報告されています。また心毒性がありますので、投与する前に必ず心機能に異常がないかどうか検査しなければいけません。

    たとえば、心臓の超音波検査や心筋シンチグラフなどの心臓機能検査を受けてから、アドリアシンを投与できるかどうかを決定することが多いようです。膀胱内への注入では、膀胱ガンの部分にこの薬を投与しますと、腫瘍が、壊死をおこします。そのために、膀胱の刺激症状をおこしたり、残尿感などの副作用がおこります。アドリアシンの副作用には、非常に強い脱毛と吐き気があるので、必ず投せ与前には制吐剤(吐き気止め)を投与します。

    投与中の日常生活

    アドリアシンは、脱毛や白血球減少、悪心、嘔吐といった副作用が非常に強いので、入浴はひかえめにしましょう。食事では、粘膜を刺激するような辛いものや塩分の多いもの、熱いものはとらないほうが良いでしょう。

    アドリアシンを投与中は、悪心や嘔吐が強くでるので、飲酒もさけたほうが良いでしょう。アドリアシンを投与中に日光に当たると、脱毛につづく皮膚の障害が強くでることがあるので、日光にも当たらないほうが良いでしょう。

    さらに、心機能異常がでるので、投与中は強い運動をしないほうが無難です。歩くときもゆっくり歩くように心がけましょう。車の運転にはとくに差し支えありません。