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ノバントロン(一般名:塩酸ミトオキサントロン)

ドキソルビシン抵抗例にも使用可能

製造・販売元
武田薬品工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 乳ガン
  • 肝細胞ガン
用法
静脈内にゆっくり投与
有効率
45%(急性白血病の単独療法)、40%(悪性リンパ腫の単独療法)、25%(乳ガンの単独療法)、15%(肝細胞ガンの単独療法)
副作用
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • 血色素減少
  • 悪心・嘔吐
  • 食欲不振
  • うっ血性心不全
コスト
52,0601円
禁忌
  • 心機能異常またはその既往歴のある患者
  • ノバントロンの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者

ノバントロンの紹介

ノバントロンは、急性白血病でイダルビシンやダウノルビシン、リンパ腫でアドリアシン、乳ガンでファルモルビシンやアドリアシンを使用したあとに再発した方、もしくはそれらの薬にアレルギーがある方に第一選択薬として使われている強力な薬の1つです。肝細胞ガン対しては、一般に使われることが少なくなってきました。現在は、リンパ腫の治療薬としても注目を浴びてきています。

非常に強力な薬

ノバントロンは、投与してから3日以内に白血球減少や血小板減少がおこるという非常に強力な薬です。

逆にそれが特徴で、入院して治療し、なおかついつ副作用がでるかということがきちんと計算できる薬です。ノバントロンは静脈内にゆっくり投与することが必要です。心毒性が強いので、心臓の弱い方には投与できません。

また血管内から漏れると、静脈炎を強くおこします。そのとき組織の壊死などがおきますから、気をつけて投与しなければなりません。

有効率は非常に高く、これまで40% から45%が単独で認められています。併用する薬の代表例としては、キロサイドやエンドキサン、カルボプラチンといった薬があり、併用すると約60% の有効率を誇ります。

ゆっくり治療すれば外来でもできない治療ではありません。副作用としては、白血球減少と血小板減少が非常に強く出ます。また悪心、嘔吐も強いので、一般にはノバントロンを投与する前に制吐剤(吐き気どめ) を先に投与してから行います。
うっ血性心不全も出ることがありますので注意が必要です。心機能異常のある方には使うことはできません。

投与中の日常生活

投与中には白血球減少が必ずおきますので、入浴中は控えめにして、清潔を保つためにシャワーなどを頻繁にあびたほうがいいと思います。

食事については、生ものや火の通っていないものに気をつけましょう。納豆やヨーグルトなどが問題になります。この薬剤を投与中は、飲酒したいという気持ちはおきないと思いますげりが、下痢などがある場合には、飲酒をするとさらにひどくなりますので気をきつえんつけましょう。

喫煙はとくに気をつける必要はありません。運転もとくに気をつける必要はありねんまくません。皮膚粘膜障害が出る場合がありますので、その場合にはあまり日光を浴びないようにしたほうが良いと思います。

キロサイド(一般名:シタラビン)

白血病の特効薬として、また今後リンパ腫にも

製造・販売元
日本新薬株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 消化器ガン
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 女性器ガン
  • 膀胱腫瘍
用法
静脈内に点滴投与、またはワンショットで投与する。1回の点滴に要する時間は30分~1時間程度。膀胱腫瘍の場合は、膀胱内に注入する。
有効率
60.7%(急性白血病)、39.2%(消化器ガン)、72.7%(女性器ガン)、30.6%(膀胱腫瘍)など
副作用
  • 悪心
  • 食欲不振
  • 膀胱内注入の場合、白血球減少、膀胱刺激症状
コスト
4,125円
禁忌
キロサイドに対する重篤な過敏症の既往歴のある患者。

キロサイドの紹介

キロサイドは最も古くから使われている薬の1つで、1940年代から使用されています。急性白血病や肺ガン対して、代表的な薬の1つとして知られています。現在も中心的な薬の1つです。

急性白血病など60%の有効率

キロサイドは、静脈内に点滴投与またはワンショット(1回)で投与します。アメリカでは早くから認められていた、中等度もしくは大量の投与が、最近日本でも認められるようになり、有効率が高くなってきました。

とくに急性白血病や悪性リンパ腫では、60%以上の有効率を示します。

主な副作用としては、悪心、嘔吐などがあります。キロサイドを高濃度に入れますと、中枢神経系、とくに脳脊髄液中に約1% から0.1% 、キロサイドが分布することによって、嘔吐が強く出たりします。

一方で、頭の中にもキロサイドが行きますので、頭の中に病気がある場合でも効果があることがあります。また刺激性が比較的少ないので、脳脊髄液の中に直接、少量の薬を入れる場合があります。これは「髄腔内投与」といいます。

比較的コントロールしやすい薬

キロサイドは、点滴や注射をすると、すぐに血中濃度が上がるという利点があります。逆にいうと、ワンショットもしくは短時問で点滴した場合には、非常に短い時問で血中濃度が高くなります。濃度が低くなるのも早いです。

逆に24時問持続点滴をしますと、非常に長く有効性が保たれます。比較的コントロールがしやすい薬です。キロサイドは、ほかの薬と組み合わせることによって非常に効果を発揮します。併用する薬の代表例としては、急性白血病ではイダルビシンやダウノルビシン、急性リンパ性自血痛では、アドリアシン、リンパ腫では、プラトシンといった白金製剤といっしょに使われます。

血中に投与するものとしては、キロサイドは将来的にもこのまま残っていくでしょう。経口薬としては、スタラシドという薬がQOLを改善するためしに開発されています。また、脂肪にとける形にしたものが現在開発中です。
これは中枢神経に転移したガンや白血病に対して、有効率が非常に高くなっています。現在注目されている薬の1つで、デポサイトとよばれています。
投与中の日常生活
キロサイドの投与中、ほとんどの場合は入院生活をします。外来で点滴をする場合には、約2週間後に白血球減少が非常に強く出ますので、一般には食物や入浴などの制限があります。感染症に気をつけましょう。膀胱内注入の場合には、膀胱刺激症状がありますので、その後出血性膀胱炎や、膀胱炎の症状が出ることがあります。