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ロイナーゼ(一般名:L-アスパラギナーゼ)

小児の急性リンパ性白血病に有効

製造・販売元
協和発酵工業株式会社
対象患者
    急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫
用法
静脈に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は60分。
有効率
75%(リンパ性白血病)、53.8%(細網肉腫(68.9%)、リンパ肉腫など
副作用
  • ショック
  • 気道閉塞
  • 循環不全
  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 肺出血
  • 重篤な急性膵炎
  • 意識障害を伴う高アンモニア血症
  • 肝不全
  • コスト
    5,607円
    禁忌
    ロイナーゼに対して重篤な過敏症の既往歴がある

ロイナーゼの紹介

ロイナーゼは、慢性白血病の中のりパ性急性転化や悪性リンパ腫、あるいは急性リンパ性白血病によく用いられます。

1回目の投与でショックが起きることがある

ロイナーゼは、細菌からつくられた酵素です。患者さんがその細菌に対してアレルギーがあると、ショックなどをおこします。この酵素は、細胞がアミノ酸を利用する効率を悪くして、細胞を飢餓状態に追いこむように作用します。

静脈内の点滴注射では、1回目の投与のときに、ショックやアナフィラキシーというアレルギーなどの症状がよく出ます。また出血や肝機能障害などがおこることがあるので、とくに気をつける必要があります。1回日にこれらの症状がでると、2回目以降の投与ができなくなります。1回目にこれらの症状がなければ、2回目以降は安全に投与できる可能性が高くなります。

肝臓の細胞の機能もおさえられて肝障害が起きる

ロイナーゼを投与すると、肝臓などのようなタンパク質をたくさんつくる場所の細胞の機能もいっしょにおさえられるため、肝障害がおこります。この肝障害は、AST(GOT)やA LT(GPT)が上がるタイプの肝障害ではありません。
アルブミンや凝固因子など、毎日つくられているようなタンパク質をつくることができなくなるタイプの障害です。

凝固因子が非常に減ることから、凝固異常がおこります。まれに、凝固因子が減りすぎたために、脳出血や肺出血などの出血傾向をおこすことがあります。

また、すい臓に負担をかけて急性すい炎をおこすこともあります。点滴はなるべくゆっくりと行います。単剤で用いる場合もありますが、一般にはリンパ性白血病のある治療と別の治療との間で用いたり、あるいはある治療と併用して4週間程度利用されることが多いです。

併用される薬の代表例としては、メソトレキセート、プレドニンなどのような、リンパ性の白血病に使われる薬があります。この系統の薬はロイナーゼしかありませんので、将来的にもしばらく使われていくことになると思います。
投与中の日常生活
血液の凝固異常や出血傾向がみられる場合があるので、皮膚をこすったり、体を温めたり、清拭することはできません。入浴は、シャワーだけにしたほうが無難です。肝機能障害が強く出るので、油の多いものを食べたり、たくさんの量を食べたりといった肝臓に負担をかける食事はひかえます。
薬の吸収が悪くなる可能性があるので、飲酒はできません。ロイナーゼを使う場合、心臓に負担がかかる薬と併用することが多く、その場合には運動もできなくなります。

メソトレキセート(一般名:メトトレキサート)

免疫抑制剤としてだけでなく抗ガン剤も古くから認められている

製造・販売元
武田薬品工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • 絨毛性疾患(絨毛ガン、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
  • CMF療法:乳ガン
  • メトトレキセート・ロイコボリン救助療法(肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)
  • 急性白血病の中枢神経系および睾丸への浸潤に対する寛解、悪性リンパ腫の中枢神経への浸潤に対する寛解
  • メトトレキセート・フルオロウラシル交代療法
  • 胃ガンに対するフルオラシル抗腫効果の増強
用法
静脈内、髄腔内または筋肉に注射する。また必要に応じて動脈内または腫瘍に注射。
有効率
単剤でおよそ20%
副作用
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 脱毛
  • 白血球減少
  • 貧血
  • ALT(GPT)上昇
  • AST(GOT)上昇
コスト
1,066円
禁忌
  • メソトレキセートの成分に対し重篤な過敏症の既往歴がある
  • 肝障害
  • 腎障害
  • l胸水・腹水

メソトレキセートの紹介

メソトレキセートは最も古い抗ガン剤の1つで、急性白血病やリンパ性白血病などに使われる薬の1つです。

また、絨毛ガンといって、妊娠にともう「胞状奇胎」という腫瘍にともなって肺転移がおこりますが、そのような状態に使われている薬の1つです。また最近ではあまり使われなくなりましたが、乳ガンで「CMF療法」という弱い化学療法を行う場合の代表的な薬の1つでもあります。さらに、骨肉腫や軟部肉腫、ほかの肉腫などで現在も最も使われている薬の1つです。
胃ガンでは、メソトレキセートと5-FUをいっしょに使う場合があります。

短時間で点滴が可能

メソトレキセートは葉酸代謝、つまそりビタミンB6に関する核酸合成の阻害をするという機序が非常にきちんと解明されていますので、昔からずっと使われています。点滴が非常に短時問でできるという利点があります。
リンパ性疾患や絨毛性のガンなどには、標準的な治療の1つとして今後も使われていくと思います。

メソトレキセートを投与して、効果が強く出過ぎた場合や、口内炎が強く出た場合などには、メソトレキセートの効果を弱めるロイコポリンという薬を投与することがあります。これは「ロイコポリン救援療法」とよばれるものです。

吐き気や嘔吐、食欲不振や脱毛がおきますが、人によって個人差が非常にあります。肝障害や腎障害があると、メソトレキセートが肝臓で分解されにくくなったり、腎臓から排泄されにくくなったりします。そのため薬の効果が強く出る場合がありますから気をつけましょう。

投与中の日常生活

メソトレキセートを投与中は一般に、口内炎や下痢、粘膜障害がおきやすくなります。口腔内や肛門周囲などを清潔に保つように気をつけましょう。

食事については、刺激性の高いものや、口にしみたりする酸味の強いものはひかえましょう。下痢をしている場合、飲酒はひかえたほうがよいと思います。まれに肺の障害が出ることがありますので、喫煙量は減らしましょう。車の運転にはとくに気をつける必要はありません。粘膜障害や皮膚障害がある場合には、日光を浴びるのはひかえたほうがよいと思います。