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UFT(一般名:テガフール・ウラシル)

おだやかな経口抗ガン剤のひとつ

製造・販売元
大鵬薬品工業株式会社
対象患者
  • 頭頸部ガン
  • 胃ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 肝臓ガン
  • 胆嚢・胆管ガン
  • すい臓ガン
  • 肺ガン
  • 乳ガン
  • 膀胱ガン
  • 前立腺ガン
  • 子宮頸ガン
用法
カプセルまたは顆粒を服用する。
有効率
25.4%(胃ガン)、30.2%(乳ガン)、8.3%(結腸・直腸ガン)、31.0%(頭頸部ガン)など
副作用
  • 食欲不振
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • 貧血
  • 肝障害
  • 色素沈着 など
コスト
1,018円
禁忌
  • UFTの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者
  • テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者

UFTの紹介

UFTは、結腸・直腸ガンや胃ガンの術後に、日本で最も多く使用されている薬の1つです。術後2週間以上が経過した時点から、術後の再発予防に使われることが多いです。外科の先生方が処方する薬の中で最も多い薬の1つで、毎日2~3回経口投与されます。

安全に長く使うことができる

副作用としては食欲不振や消化管の軽い障害が出ますが、比較的安く、長く使用することができます。また、UFTや5ーFUなどに共通する副作用として、それらの薬に対する過敏症がある患者さんには使用できません。

また長く使用している患者さんの一部に、手と足に色素沈着がおこる「手足症候群」という副作用が出ることがあります。将来的には、「UFT・ロイコポリン併用療法」というのが、代表例として最も使われるようになってくるでしょう。

これはUFTにロイコポリンという薬を併用する療法です。UFTは単剤での有効率は20% から30% と低いため、将来的にはロイコポリンと併用する、もしくはカンプトという薬と併用することが考えられています。またアメリカでは、オキサリプラチンという薬と併用する動いているということが考えられています。

投与中の日常生活

UFTは消化管での比較的軽い副作用があるだけで、日常生活でとくに気をつける点は少ないと思います。入浴や喫煙、車の運転には、とくに気をつける必要はありません。投与の初期に軽い悪心や吐き気がある場合、食事は刺激の少ないものにしたほうがいいと思います。
悪心や吐き気がある場合には、飲酒もひかえたほうが良いでしょう。手足症候群がおきた場合には、日光に過敏になることがありますので気をつけましょう。
手足症候群は5-FUでも副作用がでやすい症状です。

ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)

予後の悪い乳ガンにも光

製造・販売元
日本ロシュ株式会社
対象患者
  • HER2過剰発現が確認された転移性乳ガン
  • 心機能・生理機能(肺、肝臓、腎臓など)が保たれている。
用法
静脈内に点滴注射する(1回の点滴に要する時間は3~4時間)
有効率
30~40%
副作用
  • 発熱
  • 悪寒
  • 無力症
  • 疼痛など
コスト
150mlで80042円(1回の投与分)初回のみ2倍のコストがかかる。
禁忌
ハーセブンの成分に対して過敏症の既往歴のある患者

ハーセプチンの紹介

ハーセプチンは、日本で最初に発売された乳ガン分子標的薬剤で、2001年6月に認められました。HER2という遺伝子、もしくはその遺伝子からつくられるタンパク質の過剰発現がみられる転移性の乳ガンがハーセプチン投与の対象となります。

日本では現在、転移性乳ガンにしか適応が認められていないので、手術をした後、もしくは手術をする前で、すでにもう転移が分かっている症例しか対象になっていません。しかし、最近アメリカでは、手術前にハーセプチンを使って腫瘍が小さくなったために手術ができた例や、いくつかの薬を併用すると、手術をしなくても助かる例が報告されています。

ハーセプチンは副作用が少ない

ハーセプチンだけを用いた場合には、脱毛や吐き気などの一般の抗がん剤でみられるような副作用がありません。しかし、投与を受ける場合には、心臓の機能や生理機能、骨髄や肺、肝臓、腎臓などが正常に保たれていることが条件になります。

とくに心臓に負担をかけるアドリアシンなどと一緒に投与すると、心臓が極端に悪くなることが知られています。また、発熟や悪寒、発疹など、抗体療法に特有の副作用が認められます。また、まれにショックになったり、肺の炎症をおこしたりする例が報告されています。

ただしそのような例でも、1回目の投与時にでることが多く、2回目以降には副作用が少ないのが一般的です。

ハーセプチンは静脈内に点滴注射しますが、時間がかかります。とくに1回目には、2回目以降の倍の量を投与するので、4~6時間かかります。また、少なくとも数回以上投与しないと有効性が出ないこと、1本あたり8万円と高価なことなどがハーセプチンの短所です。

ハーセプチンの有効率は、30~40% です。HER2遺伝子が異常発現している乳ガンは、乳ガン全体の約25~30% で、ハーセプチンの有効率は30~40% なので、乳がん全体の約10% に有効です。

一般には、効果のある間はハーセプチンを毎週投与します。ハーセプチンの効果がある期間は平均9ヶ月、つまり、9ヶ月寿命が延長することになります。最近、プラトシンという薬と併用すると、ほぼ100% の方に効くとアイルランドで報告されました。手術にかわってこの薬剤を使った治療だけになる時代がくるかもしれません。

投与中の日常生活

皮膚に転移をしている方にハーセプチンを使うと、転移をしている場所が乾いてきたり、腫瘍が小さくなって出血しやすくなります。入浴中にこすったり、暖めすぎると、転移しているところが出血をしやすくなるので、入浴は短時問にしましょう。
食事や運動、車の運転、飲酒、喫煙などに関してはとくに制限はありませんが、若干心臓に負担がかかることを忘れてはいけません。