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ファルモルビシン (一般名: 塩酸エビルビシン )

ファルモルビシン は老人にも使用可能な協力な薬剤

製造・販売元
協和発酵工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 乳ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 肝ガン
  • 尿路上皮ガン
用法
静脈内にゆっくり点滴注射する。肝ガンの場合には、肝動脈内に点滴注射する。膀胱ガンの場合は膀胱腔内に注入する。
有効率
23.5%(急性白血病)、64.3%(悪性リンパ腫)、38.6%(乳ガン)、58.4%(表在性膀胱ガン)など
副作用
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 白血球減少
    • 食欲不振
    • 脱毛

膀胱腔内注入では頻尿、排尿痛などの局所刺激症状

コスト
7,591円
禁忌
心機能異常またはその既往歴のある患者。 ファルモルビシン に対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。他のアントラサイクリン系薬などの心毒性を有する薬剤による治療が限界量に達している患者。

ファルモルビシン の紹介

ファルモルビシン は、アドリアシンの類似薬ということで開発されましたが、副作用のうちの心毒性が弱いということで選ばれる場合が多いようです。とくに老人例での白血病や悪性リンパ種によく使われています。

心毒性の危険が強い人に使われる

欧米、とくにヨーロッパでは乳ガンに対して、エンドキサン、アドリアシン、5-FUという薬を組み合わせた治療のほかに、心臓に毒性が少ないという理由から、むしろエンドキサン、ファルモルビシン、5-FUといった薬を使う「CEF療法」がよく行われています。

日本では残念ながら、投与量の一部までしか保険が適用されないために、まだ、普及が十分ではありません。血液系の腫瘍では、心毒性の危険がある人に、ファルモルビシンが使われています。アドリアシンと同じように、点滴のときに血管から漏れますと、強い静脈炎をおこしますので投与中に注意が必要です。

肝臓ガン、膀胱ガンなどで、肝動脈内や膀胱腔内に注入する場合には、時間をかけて行います。30分から60分程度時間をかけます。

静脈内に点滴注射をする場合には、ゆっくり時間をかけながらワンショットで投与をするか、もしくは30分程度時間をかけて点滴をする場合が多いです。最近、24時間かけてゆっくり投与するというような方法も考えられましたが、まだ一般的ではありません。長くかけたほうが副作用が少なく、吐き気が少ないという特徴があります。

与中の日常生活

白血球減少がある場合には入浴をひかえ、シャワーだけにしましょう。食事は、生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆、ヨーグルトといった菌が含まれているものは避け、加熱したものを食べましょう。

膀胱内に ファルモルビシン を投与したときには、膀胱刺激があるので、人浴や運転、運動などをひかえましょう。。喫煙・飲酒に関する制限はありません。ただし、食欲不振が強い場合には飲酒をひかえましょう。

ノバントロン(一般名:塩酸ミトオキサントロン)

ドキソルビシン抵抗例にも使用可能

製造・販売元
武田薬品工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 乳ガン
  • 肝細胞ガン
用法
静脈内にゆっくり投与
有効率
45%(急性白血病の単独療法)、40%(悪性リンパ腫の単独療法)、25%(乳ガンの単独療法)、15%(肝細胞ガンの単独療法)
副作用
  • 白血球減少
  • 血小板減少
  • 血色素減少
  • 悪心・嘔吐
  • 食欲不振
  • うっ血性心不全
コスト
52,0601円
禁忌
  • 心機能異常またはその既往歴のある患者
  • ノバントロンの成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者

ノバントロンの紹介

ノバントロンは、急性白血病でイダルビシンやダウノルビシン、リンパ腫でアドリアシン、乳ガンでファルモルビシンやアドリアシンを使用したあとに再発した方、もしくはそれらの薬にアレルギーがある方に第一選択薬として使われている強力な薬の1つです。肝細胞ガン対しては、一般に使われることが少なくなってきました。現在は、リンパ腫の治療薬としても注目を浴びてきています。

非常に強力な薬

ノバントロンは、投与してから3日以内に白血球減少や血小板減少がおこるという非常に強力な薬です。

逆にそれが特徴で、入院して治療し、なおかついつ副作用がでるかということがきちんと計算できる薬です。ノバントロンは静脈内にゆっくり投与することが必要です。心毒性が強いので、心臓の弱い方には投与できません。

また血管内から漏れると、静脈炎を強くおこします。そのとき組織の壊死などがおきますから、気をつけて投与しなければなりません。

有効率は非常に高く、これまで40% から45%が単独で認められています。併用する薬の代表例としては、キロサイドやエンドキサン、カルボプラチンといった薬があり、併用すると約60% の有効率を誇ります。

ゆっくり治療すれば外来でもできない治療ではありません。副作用としては、白血球減少と血小板減少が非常に強く出ます。また悪心、嘔吐も強いので、一般にはノバントロンを投与する前に制吐剤(吐き気どめ) を先に投与してから行います。
うっ血性心不全も出ることがありますので注意が必要です。心機能異常のある方には使うことはできません。

投与中の日常生活

投与中には白血球減少が必ずおきますので、入浴中は控えめにして、清潔を保つためにシャワーなどを頻繁にあびたほうがいいと思います。

食事については、生ものや火の通っていないものに気をつけましょう。納豆やヨーグルトなどが問題になります。この薬剤を投与中は、飲酒したいという気持ちはおきないと思いますげりが、下痢などがある場合には、飲酒をするとさらにひどくなりますので気をきつえんつけましょう。

喫煙はとくに気をつける必要はありません。運転もとくに気をつける必要はありねんまくません。皮膚粘膜障害が出る場合がありますので、その場合にはあまり日光を浴びないようにしたほうが良いと思います。