月別アーカイブ: 2017年10月

ラステット(一般名:エトポシド)

再発例に有効な経口抗ガン剤

製造・販売元
日本化学株式会社
対象患者
  • 小細胞肺ガン
  • 悪性リンパ腫
  • 子宮頸ガン
用法
カプセルを服用
有効率
25.0%(小細胞肺ガン)、5日間投与で44.3%、21日間投与で53%(悪性リンパ腫)、23.5%(子宮頸ガン)
副作用
  • 白血球減少
  • 貧血
  • 悪心
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 口内炎
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 脱毛
  • 食欲不振 など
16,614円
テキスト
禁忌
重篤な骨髄抑制がある。ラステットに対する重篤な過敏症の既往歴がある。妊婦または妊娠している可能性がある。

ラステットの紹介

ラステットは、リンパ腫や白血病の再発例に有効な経口の抗ガン剤のひとつで使用頻度の高い経口抗ガン剤。

よいQOLをめざした外来治療で使われる

一般には高齢者で強い治療ができない方、あるいはこれまでに強い治療が行われて再発した場合の外来での治療薬として処方されることが多い薬です。

よいQOLを目標とした外来の治療でよく使われます。悪性リンパ腫、子宮ガン、肺ガンの再発例などで使われます。1週間や2週間、もしくは4週間つづけて投与することがあります。
ただし、急に白血球が減少する場合がまれにありますので、定期的に白血球減少がないかどうかを血液検査でチェックする必要があります。

1種類の薬としては、1回の投与で比較的有効性が高いことが長所です。一方で、ラステット以外の別の薬と併用すると、下痢が強く出ることがあります。ほかの薬と併用されることはあまりなく、単独で使うことが多い薬です。

ウィルス感染症にかかっていたり、ほかの抗がん剤を服用している場合にラステットを投与されますと、強い骨髄抑制が出ることがありますので、必ずほかの薬を飲んでいるかどうかを聞いてから使うことが必要です。

まれな副作用として、食欲不振と下痢が投与の最初のころにある場合があります。最近注目されている肺腺ガンの薬で、イレッサがあります。イレッサが保険で承認されたのち、そのような薬だけでは十分な治療効果が出ない場合に、ラステットなどの経口の抗ガン剤との併用が考えられています。
今後は、そのような臨床試験が行われることになると思います。

投与中の日常生活

入浴ではとくに気をつけることはありません。ラステットは副作用として口内炎がおきることがあります。口内炎がおきたときは、レモンなどビタミンCを含むものや、酸味の強いものを食べると痛くなりますので気をつけましょう。
運動ではとくに気をつけることはありませんが、まれに副作用で貧血がおきることがあります。車の運転や飲酒、喫煙ではとくに気をつけることはありません。

メソトレキセート(一般名:メトトレキサート)

免疫抑制剤としてだけでなく抗ガン剤も古くから認められている

製造・販売元
武田薬品工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 慢性リンパ性白血病
  • 慢性骨髄性白血病
  • 絨毛性疾患(絨毛ガン、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)
  • CMF療法:乳ガン
  • メトトレキセート・ロイコボリン救助療法(肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)
  • 急性白血病の中枢神経系および睾丸への浸潤に対する寛解、悪性リンパ腫の中枢神経への浸潤に対する寛解
  • メトトレキセート・フルオロウラシル交代療法
  • 胃ガンに対するフルオラシル抗腫効果の増強
用法
静脈内、髄腔内または筋肉に注射する。また必要に応じて動脈内または腫瘍に注射。
有効率
単剤でおよそ20%
副作用
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 脱毛
  • 白血球減少
  • 貧血
  • ALT(GPT)上昇
  • AST(GOT)上昇
コスト
1,066円
禁忌
  • メソトレキセートの成分に対し重篤な過敏症の既往歴がある
  • 肝障害
  • 腎障害
  • l胸水・腹水

メソトレキセートの紹介

メソトレキセートは最も古い抗ガン剤の1つで、急性白血病やリンパ性白血病などに使われる薬の1つです。

また、絨毛ガンといって、妊娠にともう「胞状奇胎」という腫瘍にともなって肺転移がおこりますが、そのような状態に使われている薬の1つです。また最近ではあまり使われなくなりましたが、乳ガンで「CMF療法」という弱い化学療法を行う場合の代表的な薬の1つでもあります。さらに、骨肉腫や軟部肉腫、ほかの肉腫などで現在も最も使われている薬の1つです。
胃ガンでは、メソトレキセートと5-FUをいっしょに使う場合があります。

短時間で点滴が可能

メソトレキセートは葉酸代謝、つまそりビタミンB6に関する核酸合成の阻害をするという機序が非常にきちんと解明されていますので、昔からずっと使われています。点滴が非常に短時問でできるという利点があります。
リンパ性疾患や絨毛性のガンなどには、標準的な治療の1つとして今後も使われていくと思います。

メソトレキセートを投与して、効果が強く出過ぎた場合や、口内炎が強く出た場合などには、メソトレキセートの効果を弱めるロイコポリンという薬を投与することがあります。これは「ロイコポリン救援療法」とよばれるものです。

吐き気や嘔吐、食欲不振や脱毛がおきますが、人によって個人差が非常にあります。肝障害や腎障害があると、メソトレキセートが肝臓で分解されにくくなったり、腎臓から排泄されにくくなったりします。そのため薬の効果が強く出る場合がありますから気をつけましょう。

投与中の日常生活

メソトレキセートを投与中は一般に、口内炎や下痢、粘膜障害がおきやすくなります。口腔内や肛門周囲などを清潔に保つように気をつけましょう。

食事については、刺激性の高いものや、口にしみたりする酸味の強いものはひかえましょう。下痢をしている場合、飲酒はひかえたほうがよいと思います。まれに肺の障害が出ることがありますので、喫煙量は減らしましょう。車の運転にはとくに気をつける必要はありません。粘膜障害や皮膚障害がある場合には、日光を浴びるのはひかえたほうがよいと思います。