月別アーカイブ: 2017年9月

フィルデシン(一般名:塩酸ビンデシン)

オンコビンよりも末梢神経障害が少ない

製造・販売元
塩野義製薬株式会社
対象患者
  • 急性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
  • 悪性リンパ腫
  • 肺ガン
  • 食道ガン
用法
静脈内に点滴注射する。ワンショットまたはゆっくり側注。
有効率
37.8%(急性リンパ性白血病)、29.4%)慢性骨髄性白血病の急性転化)、55.6%(非ホジキンリンパ腫)、14.3%(小細胞ガン)、55.6%(ホジキンリンパ腫)、15%(扁平上皮ガン)、15.4%(肺腺ガン)、16.2%(食道ガン)など
副作用
  • 白血球減少
  • ヘモグロビン減少
  • 血小板減少
  • 脱毛など
コスト
5,974円
禁忌
フィルデシンの成分に対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。髄腔内には投与してはならない

薬剤名の紹介

フィルデシンの対象患者は、急性白血病と悪性リンパ腫ですが、肺ガンや食道ガンにも使われています。最近では代表的な悪性リンパ腫の治療薬として、ふたたび脚光を浴びています。

オンコビンよりも有効率は若干低い

フィルデシンはオンコピンという有名な薬の誘導体で、オンコピンよりも末梢神経障害が少ないということで開発をされています。
そのため、オンコピンを投与すると末梢神経障害が強く出る人には、この薬を使うほうが良いことがあります。

ただし、オンコピンよりも有効性は若干低くなります。末梢神経障害が強く出た患者さんのみに使われたり、もしくは仕事の関係から末梢神経障害がおきると都合が悪いような患者さんに使われる場合があります。
オンコピンの末梢神経障害の弱い薬の一つとして、今後も使われていくことになるでしょう。フィルデシンは血管から漏れると静脈炎をおこしますので、できるだけワンショットで投与するか、もしくは太い血管に入っていることを確かめてから、時間をかけて投与することが一般的です。

急性白血病ではステロイドホルモンやキロサイド、メソトレキセートといへいようったほかの強力な薬と併用します。

悪性リンパ腫では、アドリアシンエンドキサンなどといっしょに使われます。肺ガンでは、プラトシンなどといっしょに使われます。

一般に食道ガンや肺ガンでは、フィルデシンを使ったあとに放射線照射を併用する場合があります。フィルデシンもオンコピンと同様、髄腔内には絶対に投与してはいけません。またくり返し投与しますと、絶対ではありませんが末梢神経障害や消化管の麻痔がおこりますので、投与の日数は守らなければなりません。

投与中の日常生活

フィルデシンでは一般に、末梢神経障害は比較的少ないのですが、それ出た場合などは一人浴時に気をつけましょう。滑りやすくなったり、転びやすくなったりするからです。運動については、末梢神経障害の予防のためにしていたうが良いのですが、細かい運動は危険ですから控えましょう。車の運転、飲酒や喫煙には、とくに気をつけることはありません。

ファルモルビシン (一般名: 塩酸エビルビシン )

ファルモルビシン は老人にも使用可能な協力な薬剤

製造・販売元
協和発酵工業株式会社
対象患者
  • 急性白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 乳ガン
  • 卵巣ガン
  • 胃ガン
  • 肝ガン
  • 尿路上皮ガン
用法
静脈内にゆっくり点滴注射する。肝ガンの場合には、肝動脈内に点滴注射する。膀胱ガンの場合は膀胱腔内に注入する。
有効率
23.5%(急性白血病)、64.3%(悪性リンパ腫)、38.6%(乳ガン)、58.4%(表在性膀胱ガン)など
副作用
    • 悪心
    • 嘔吐
    • 白血球減少
    • 食欲不振
    • 脱毛

膀胱腔内注入では頻尿、排尿痛などの局所刺激症状

コスト
7,591円
禁忌
心機能異常またはその既往歴のある患者。 ファルモルビシン に対して重篤な過敏症の既往歴のある患者。他のアントラサイクリン系薬などの心毒性を有する薬剤による治療が限界量に達している患者。

ファルモルビシン の紹介

ファルモルビシン は、アドリアシンの類似薬ということで開発されましたが、副作用のうちの心毒性が弱いということで選ばれる場合が多いようです。とくに老人例での白血病や悪性リンパ種によく使われています。

心毒性の危険が強い人に使われる

欧米、とくにヨーロッパでは乳ガンに対して、エンドキサン、アドリアシン、5-FUという薬を組み合わせた治療のほかに、心臓に毒性が少ないという理由から、むしろエンドキサン、ファルモルビシン、5-FUといった薬を使う「CEF療法」がよく行われています。

日本では残念ながら、投与量の一部までしか保険が適用されないために、まだ、普及が十分ではありません。血液系の腫瘍では、心毒性の危険がある人に、ファルモルビシンが使われています。アドリアシンと同じように、点滴のときに血管から漏れますと、強い静脈炎をおこしますので投与中に注意が必要です。

肝臓ガン、膀胱ガンなどで、肝動脈内や膀胱腔内に注入する場合には、時間をかけて行います。30分から60分程度時間をかけます。

静脈内に点滴注射をする場合には、ゆっくり時間をかけながらワンショットで投与をするか、もしくは30分程度時間をかけて点滴をする場合が多いです。最近、24時間かけてゆっくり投与するというような方法も考えられましたが、まだ一般的ではありません。長くかけたほうが副作用が少なく、吐き気が少ないという特徴があります。

与中の日常生活

白血球減少がある場合には入浴をひかえ、シャワーだけにしましょう。食事は、生野菜などの細菌がついている可能性があるものや、納豆、ヨーグルトといった菌が含まれているものは避け、加熱したものを食べましょう。

膀胱内に ファルモルビシン を投与したときには、膀胱刺激があるので、人浴や運転、運動などをひかえましょう。。喫煙・飲酒に関する制限はありません。ただし、食欲不振が強い場合には飲酒をひかえましょう。