月別アーカイブ: 2017年7月

5-FU(一般名:フロオロウラシル)

世界で最も古い1つ。多くがガンで併用される。

製造・販売元
協和発酵株式会社
対象患者
  • 胃ガン
  • 肝ガン
  • S状結腸ガン
  • 結腸・直腸ガン
  • 膵ガン
  • 子宮頸ガン
  • 子宮体ガン
  • 卵巣ガン
  • 食道ガン
  • 皮膚悪性腫瘍(有棘細ガン、基底細胞ガン、皮膚付属器ガン、皮膚転移ガン、ポーエン病、パジェット病、放射線角化腫、老人性角化腫、紅色肥厚症、皮膚細網症、悪性リンパ腫の皮膚転移)

  • 肺ガン
  • 頭頸部腫瘍では、ほかの抗腫瘍剤または、放射線との併用が必要
用法
  • 5-FU協和は、静脈内に注射または点滴注射する
  • 1回の点滴時間は、30分または24時間持続点滴
  • 5-FU錠・5-FU100協和は錠剤を服用する
  • 5-FUドライシロップ協和は、水に溶かして飲む
  • >5-FU座剤100協和は、直腸内に投与する
  • テキスト
  • 5-FU軟膏協和は、患部に塗りつける

有効率
5-FU協和で27.3%(胃ガン)、41.9%(結腸・直腸ガン、35.1%(乳ガン)など
副作用
はげしい下痢があらわれ、脱水症状までいたる、ショック、重症口内炎、手足症候群など
コスト
894円
禁忌
5-FUの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者

5-FUの紹介

5-FUは、最も広く使われており、対象患者と適応疾患が最も多い抗ガン剤の1つです。
現在、5-FUだけで有効性が高いということは非常に少ないのですが、多ガンで併用療法に用いられています。注射薬が一般的ですが、経口薬、座薬などもあります。

非常に安くて安全な薬

5-FUは、核酸代謝の括抗薬ということで標準的に使われることが多いです。薬の長所としては、非常に安くて安全であり、副作用が予測できることです。

短所として、投与量が非常に多くると下痢などをおこすことがあったり、口内炎をひどくおこすことがあります。また日光ににあたったりすると、人によっては、手と足が日焼けしたように変色する「手足症候群」がでることがあります。

一般にはこの薬だけを投与するのではなく、5-FUとロイコボリンや、プラトシンと5-FUといったように、代表的なほかの薬と併用して胃がんや大腸ガンに投与することが多いです。胃ガンでは、3剤用いる薬のうちの1つになっています。

投与中の日常生活

口内炎をおこした場合には、酸味のある食物を食べることができなくなりますので注意しましょう。非常に酸味の強いものを食べると、痛みが強くなります。できるだけさっぱりした、牛乳やそういう類のものを飲んだほうが、痛みが軽くすむことが多いです。

白血球減少がみられない場合には、入浴に関する制限はありません。

副作用で下痢が出ていて、痔が悪くなったり、肛門の周囲が炎症をおこしたりする直腸・肛門粘膜障害がでることがあるので、肛門の周囲はシャワーやウォシュレットで清潔にしましょう。

また下痢がある場合には、乳酸菌の含まれているヨーグルトや、牛乳などをとると、さらに下痢をしやすくなるのでひかえましょう。

手足症候群という副作用が出た場合、日光に当たるとさらに手足症候群が強くでることがありますので、日光に当たることは控えたほうがよいでしょう。副作用で肝障害がでている場合には、飲酒をひかえましょう。喫煙、運動、車の運転に関する制限はありません。

リッキサン(一般名:リッキシマブ)

画期的な効果をあげている

輸入・発売元
全薬工業株式会社
対象患者
  • CD20陽性の、低悪性度またはろ胞性B細胞性ホジキンリンパ腫
  • マントル細胞リンパ種
用法
静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は4~6時間
有効率
60.7%(低要性またはろ胞性リンパ腫)、46.1%(マントル細胞リンパ種)
副作用
  • 発熱
  • 悪寒
  • 掻痒
  • 血圧上昇
  • 噸脈
  • 頭痛
  • 発疹
  • 白血球減少
  • 好中球減少
  • AST(GOT)上昇
コスト
週1回の投与に25~40万円 現在4回まで投与可能
禁忌
リッキサンの成分またはマウスたんぱく質由来製品に関する重篤な過敏症または、アナフィラキシー反応の既往歴のある患者

リッキサンの紹介

リッキサンは、コストが非常に高いのですが、期待される効果が非常に高いことが特徴です。しかし、検査したうえで「CD20」という標識がついたがんであることが証明されないと、リッキサンを使えません。

日本では現在、低悪性度のリンパ腫、胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫にしか保険が適用されていません。2002年に、びまん性大細胞性リンパ腫に対して申請されました。現在は、中ないし高悪性度のリンパ腫に対しても保険が適用されています。
欧米ではすでに8コース使われています。日本では4コースしか認められていません。

1回目の投与時には入院が必要

リッキサンを投与すると、全員に発熱や悪寒、関節痛などの副作用がみられます。そのため、リッキサンを投与する30分前に解熱鎮痛剤と抗ヒスタミン剤を飲み、効きはじめてからリツキサンの点滴を開始します。

とくにはじめての投与時に副作用が強く、1~2日ほど短期入院することが多くなります。ほとんどの場合、1時間から数時間以内に副作用が出ます。

1回目に副作用が出たからといって、2回目以降の投与ができないわけではありません。2回目以降は非常に副作用が弱くなります。脱毛や下痢をおこすことはなく、心臓への負担もない抗ガン剤です。発熱などのほかに、血圧低下、血圧上昇、かゆみなどが副作用として知られていますが、これらの多くは予防できます。

リッキサンはB細胞性の免疫をおさえるため、投与中にウィルス感染にかかりやすくなる可能性があります。体を清潔にして、必ず医師に定期的にかかる必要があります。リッキサンは単剤で50~60% に有効です。4回投与すると、3ヶ月くらい血液の中にリッキサンが存在します。その間はずっと有効性が高いようです。

最近ではこの薬が効かないリンパ腫もまれに報告されています。最近では、エンドキサンやアドリアシンを中心にした悪性リンパ腫の標準療法といっしょにリッキサンを使うと、非常によい成績をあげられることが、欧米、とくにフランスのグループを中心に報告されています。この治療法が1~2年の問に標準化治療とされていくでしょう。

投与中の日常生活

入浴に関する制限はありませんが、リッキサンだけで白血球減少や好中球減少がみられた場合には、入浴をひかえたほうがよい場合があります。ただしその場合でも、ウィルス感染にかかりやすくなるため、シャワーなどで体を清潔にしたほうがよいでしょう。

食事や日光、運動、草の運転に関する制限はありません。重度の肺障害がでることがあるので、喫煙はひかえましょう。また、心障害がでることもあるので、過度の運動もひかえたほうがよいでしょゝつ