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ガン治療薬 抗ガン剤 に関する情報。 最新治療に使われるさまざまなガンの治療薬 について。

カイトリル(一般名:塩酸グラニセトロン)

世界で最もよく使われる制吐剤

製造・販売元
日本ロシュ株式会社
対象患者
シスプラチンなどの抗悪性腫瘍剤投与及び造血幹細胞移植前処置時の放射線全身照射に伴う悪心・嘔吐などの消化器症状
用法
静脈注射、または静脈内に点滴注射する。1回の点滴に要する時間は30分以内。錠剤、細粒の服用。
有効率
80~9%(抗悪性s腫瘍剤投与にともなう消化器症状に対する制吐効果。
副作用
  • 頭痛
  • 発熱
  • AST(GTO)上昇、ALT(GET)上昇
コスト
7,9888円
禁忌
カイトリルの成分に対して過敏症の既往歴がある

カイトリルの紹介

カイトリルは、世界で最もよく使わせいとれている制吐剤(吐き気どめ)の1つです。比較的古くて安全性がきちんと確立されています。また、プラトシンの抗悪性腫瘍剤の投与については、日本ではこの薬が最も強力に吐き気をおさえる薬の1つです。

脳の嘔吐中枢に直接働く

点滴は50~100ccの生理食塩水にカイトリルを入れて、30分以内に行うことが多いです。カイトリルにデカドロンなどのステロイドホルモンを入れて、吐き気をさらにおさえることがあります。

カイトリルは「セロトニン括抗薬」といい、吐き気や嘔吐をコントロールする脳の嘔吐中枢に直接はたらいて吐き気をおさえる薬です。最近では注射薬だけでなく錠剤や細粒も出ています。

点滴を終わって家に帰ってからも、予防的にコントロールするために服用していただくと、吐き気が圧倒的に少なくなるということが分かっています。きわめてまれに過敏症や手足のふるえなどが出ることがあります。しかしそれは非常に少なく、外来で安全に使われる薬の1つです。

現在は、プラトシンなどの強力な抗ガン剤の投与にともなう吐き気や、移植や放射線照射にともなう吐き気に保険が適応されています。残念ながら疾患での吐き気どめには保険が適用されていませんが、それらにも有効であることが分かっています。

日本ではカイトリルが非常にたくさん使われていて、市場でもナンバーワンです。一方、アメリカやヨーロッパでは、ゾフランという薬が最も使われています。これは日本とアメリカの保険の承認の量のちがいによります。

投与中の日常生活

入浴については、とくに気をつけることはありません。カイトリルを使っている場合には、一般に吐き気が強くおきる薬が使われていることが多いので、食事の量は制限しましょう。運動についても同様です。車の運転や飲酒、喫煙については、とくに気をつけることはありません。

リュープリン(一般名:酢酸リュープリン)

ノルバデックスと併用するLH-RH拮抗薬

製造・販売元
武田薬品工業
対象患者
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
  • 閉経前乳ガン
  • 中枢性思春期早発症
  • 前立腺ガン
用法
皮下注射
有効率
77.8%(子宮内膜症)、83.5%(子宮筋腫)、37.0%(閉経前乳ガン)、90.2%(中枢性思春期早発症)、53.9%(前立腺ガン)
副作用
  • 間質性肺炎
  • アナフィラキー様症状
  • うつ症状
  • 尿路閉塞など
56,785円
テキスト
禁忌
リュープリンの成分または、合成LH-RH、LH-RH誘導体に対して過敏症の既往歴がある。妊婦または妊娠の可能性がある。診断のつかない異常性器出血。

リュープリンの紹介

リュープリンは、閉経前乳ガンと前立腺ガンの治療に主に使われています。「LH-RH」というホルモン括抗薬の1つです。28日から30日に1回、腹部のへそから2cmくらいはなれたところに、左右両側に1回ずつ、交互に皮下注射して投与します。通常は3.75ミリグラム注射をします。

他の薬と併用されることが多い

リュープリンは「LH-RH 」というホルモンを止めるため、まれにうつ状態になったり、女性では生理が止まったり、男性では男性らしさが少なくなっていくという副作用があります。若い方では、乳ガンの患者さんに単独、もしくはノルバデックスというホルモン剤と併用してさらにホルモン療法として強く行う場合に用いられます。
前立腺ガンでは、ホンバンという薬を使います。
リュープリンはこの薬だけでは非常に副作用が少ない薬のひとつですので、ほかの薬と一緒に使われます。

子宮内膜症にも使われる

ガンではありませんが、女性で生理のときに腹痛がおきる子宮内膜症という疾患があります。そのときにも、子宮内膜の増殖を止められたり、生理のときの出血や腹痛が軽減できたりすることから、リュープリンが使われることがあります。

白血病やリンパ腫、小児の悪性腫瘍などで抗がん剤を投与しているときに血小板減少があると、若い女性で生理がある場合、出血が止まらない危険があります。そのようなときに、リュープリンを使って生理を止めることがあります。

移植のあとや、強力な抗ガン剤の使用中にリュープリンを使っている人のほうが、抗ガン剤の治療が終わったあとで卵巣機能の回復が早いということが、外国で証明されて報告されました。

抗ガン剤の使用中に月1回皮下注射すると、女性の場合卵巣機能が非常に早く元に戻って不妊症が少ないということから、不妊症を予防するという意味で使うケースが最近では多くなってきました。また最近では、エイズであらわれるにくしゆカポジ肉腫に対してリュープリンを投与すると、カポジ肉腫が小さくなることが分かりました。
抗腫瘍効果が新しく注目されて使われるようになってきています。
投与中の日常生活
入浴や食事、運動、車の運転、飲酒、きつえん喫煙などには、とくに気をつけることはありません。ただし女性では無月経、男性ではインポテンツなどがおきることがありますので、そのことを十分に理解しましょう。