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海藻中の食物繊維の働き

血糖値の上昇を抑制する水溶性食物繊維

海藻には食物繊維が豊富に含まれています。とても優れた健康成分の水溶性食物繊維です。この水溶性の食物繊維は多糖類で、字のとおりに糖がたくさん集まってできていて、粘りがあります。これは、昆布などを水に戻した時に出るヌルヌルした物質で、アルギン酸やフコイダンがあります。これらは細胞と細胞の壁の間に存在していて、水に溶ける性質を持ち、食品に含まれる水分を吸収してゲル化(ゼリー状になること)します。そして、腸の中で吸収されずに、身体に不要な物質を抱き込んだかたちで便として体外に排出します。

アルギン酸やフコイダンなどの水溶性食物繊維の働きは、多くの人がなりやすい生活習慣病や肥満に対して有効であることがわかっています。水溶性食物繊維が多く含まれるものを食べると粘度が増し、食べたものが胃から小腸へ移動するのがゆっくりになって、小腸でブドウ糖が吸収されるのを遅らせることができるので、特に、食後の血糖値が急激に上昇するのを抑える働きをします。血糖値の上昇が緩やかだと、膵臓(すいぞう)から出るインシュリンが不足せずに、正しく作用します。日本では、糖尿病の疑いがある人、可能性がある人が1,000万人以上いるとみられていますが、血糖値が気になっている人も、そうでない人も、海藻をたくさん食べることで糖尿病の予防になるのです。また、糖尿病の人の約30パーセントが肥満だというデータがあるそうですが、肥満は高血圧や心臓病など生活習慣病にかかわる重要な症状のひとつです。

便秘の改善やコレステロールを低下させる食物繊維

食物繊維が豊富な海藻には、腸を刺激して便通を促す働きがあります。水溶性の食物繊維であるアルギン酸やフコイダンは水分を含んで便をやわらかくし、排便をスムーズにします。不溶性の食物繊維で同じく多糖類のセルロースは便のかさを増し、どちらも腸の中をきれいに掃除します。便秘が習慣になってしまっている人の多くは、腸のぜん動運動が鈍っていることが原因となり、肌が荒れがちです。それだけでなく、大腸ガンの引き金にもなりえます。

アルギン酸には、コレステロールの吸収を抑えたり胆汁酸を吸着して体外に排泄させる働きがあります。肝臓でコレステロールからつくられる胆汁酸に働きかけ、便への排泄を促して血液中のコレステロールの濃度を低くします。コレステロールを低下させることは動脈硬化の予防につながり、心臓や脳の重大な病気から身を守ります。若くてしなやかな血管でいるために、やはり、海藻は欠かせない食品です。

フコイダンは胃粘膜を保護する

水溶性食物繊維のフコイダンには、胃をピロリ菌から守る働きもあります。40代を過ぎると80パーセント近い人がピロリ菌を保有しているといわれます。ピロリ菌は胃粘膜などに存在する硫酸基を好み、弱っている胃壁に付着します。フコイダンが胃の中にあると、フコイダンの硫酸基が身代わりになってピロリ菌を吸着させます。ピロリ菌に感染すると胃潰瘍の原因になり、胃ガンの引き金にもなりますが、このように、フコイダンで胃潰瘍の予防にもなります。