質重視の6時間睡眠、長時間睡眠は体への負担も増える

メラトニン・成長ホルモンが出る時間に眠る

体重と同様に、睡眠時間も適正がありとても重要です。
睡眠中の人間の体は、ただ休んでいるわけではありません。眠っている間に、脳はその日に入ってきた情報や記憶を整理し、目覚めたあとに頭がすっきりと働くよう整えています。
また体の中でも、睡眠中には傷ついた細胞を修復し、疲労を回復するホルモンが分泌されて、いわば全身の臓器・組織のメンテナンスが行われています。

特に仕事や家事、育児が多忙な働き盛りの世代では、帰宅や就寝時間も遅く、睡眠時間が十分にとれないという人が少なくないと思いますが、体のためには意識して睡眠を確保したいものです。

睡眠時間が3~4時間といった極端に少ない人は、やはり胃痛や胃もたれといった不調を抱えているケースが多いです。反対に退職して時間のある高齢世代では、睡眠時間が長い人も増えますが、1日10時間を超えるような長過ぎる睡眠時間もよくありません。

同じ姿勢で長時間横たわっていると血行が悪くなりますし、身体活動度も下がります。また長い時間寝ているとかえって熟睡感が得にくくなり、睡眠の質も低下します。

壊れた細胞などの修復やダイエットに大切な脂肪分解、女性が気になる素肌の美しさを保つために重要とされている成長ホルモンは、23時から午前26時までの3時間が分泌のゴールデンタイムです。

入眠3時間後に成長ホルモンの分泌がピークになる | 質のいい睡眠のための条件
https://hood.minibird.jp/2016/01/29/post-18/

この時間に深い眠りであるノンレム睡眠を確保できればお肌や体調管理の向上にも非常によい効果が生まれます。ただし、成長ホルモンがきちんと分泌されるための必要条件としては「空腹」であるということです。

食べ物がある程度消化されるまでには3、4時間はかかりますので、夕食を食べてから就寝までは最低3時間は空け、その間は、水分以外なるべくなにも食べないように心がけます。

よく寝つきをよくするのに寝る前にアルコールを飲む、という人がいますが、これも実は良質な睡眠にとってはまったくの逆効果です。就寝前にお酒を飲むとアルコールの代謝によって眠りが浅くなり、途中覚醒が増えて睡眠の質が確実に低下して、長時間寝ているようで実は、眠りの浅い疲労感だけが残る睡眠となってしまいます。

アルコールに頼らず、軽い運動や筋トレやストレッチなどで少し体を動かしてから就寝すれば、ずっと質のいい睡眠になります。

睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠という2種類の睡眠から成り立ちます。ノンレム睡眠は「脳の眠り」であるといわれ、一方レム睡眠は「身体の眠り」といいます。レム睡眠の最中には目玉がギョロギョロと早く動き、ノンレム睡眠で始まり次第に深い眠りが20~30 分続いたあとに浅い眠りに引き戻され、レム睡眠になります。

これが睡眠のひとつの周期で約90分といわれており、90分の倍数時間眠ったところで起きるといいとされています。

7時間眠るよりも6時間のほうが、短い睡眠時間でも目覚めはずっといいとされる所以です。なお、普通に睡眠をとっているのに朝がつらくて起きられない、日中に耐えがたい眠気がある、という場合は「睡眠時無呼吸症候群」の疑いもあります。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸と呼びます) が1時間あたり5回以上繰り返される病気です。
睡眠時無呼吸症候群
https://snore-guide.com/archives/category/%e7%9d%a1%e7%9c%a0%e6%99%82%e7%84%a1%e5%91%bc%e5%90%b8%e7%97%87%e5%80%99%e7%be%a4

主な症状には睡眠中の大きないびき、昼間の眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などがあります。睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病とも深く関係しており、治療をせずにいると心臓疾患や突然死などを引き起こしやすくなります。

また日中の眠気から集中力が低下し、仕事に支障をきたしたり、運転中の居眠りで交通事故を起こすケースもあります。中等度以上の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、10年後の死亡率が15%ほど増加するという報告もあるほどです。

睡眠時無呼吸症候群は、効果的な治療法がすでに確立されています。医療機関で正しい治療を受ければ、日常生活を問題なく過ごせるようになります。昼間の眠気、だるさを感じる人や家族にいびきを指摘されることが多いような人は、睡眠外来を設けている医療機関で早めに相談してみることをおすすめします。