たばこと肺がんの関わりはよく指摘されていますが、たばこの煙は発がん物質のかたまりです。発がん物質のほか、その疑いのある物質を数十種、細胞のがん化促進物質を数百種も含んでいます。
たばこの煙は肺だけでなく、口、鼻、のどを通り、一部は唾液に溶け込んで食道を通ります。体内で代謝されて、尿中に排泄されるまで勝胱にもとどまっています。
たばこの害は肺だけでなく、口から入って排泄されるまでに通過するさまざまな臓器をがんの危険にさらしているのです。また、吸う本人だけでなく、周囲の人にも煙をまき散らし、発がんのリスクを高めてしまっています。
妻が吸わなくても夫が1日20本以上吸う場合、喫煙しない夫をもつ妻と比べて肺がんの死亡率が2倍も高いという報告もあります。
吸いはじめる年齢が低いほど肺がんにかかりやすいこともわかっています。乳幼児や未成年者の周囲、あるいは吸わない家族に対しても、場所を離れて吸う気配りが必要です。「がん予防のための提言」には「たばこを吸わない」ときっばりと善かれています。禁煙を心がけましょう。
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その4、お酒は控えめに
飲み過ぎはNG
アルコール(酒)の飲み過ぎは、肝臓だけでなく全身に悪影響をおよぼします。WHO(世界保健機関) の調査では、過度の飲酒は口腔がん、咽頭がん、食道がんと関係があるという報告がされています。
もちろん、アルコールの多量摂取と肝臓がんにも関係が認められています。世界がん研究基金による「がん予防のための提言」でも、「飲酒はすすめられない」となっています。お酒は極力控えましょう。
また、酒好きな人は食事やつまみを食べずにお酒だけを飲むことが多いので、栄養バランスが崩れやすく、がんになりやすい体を作る可能性もあります。さらに、飲酒時に喫煙すると悪い因子が相乗的に働いて、さらにリスクを高めてしまいます。いずれにせよ、お酒は適量を守り、強いお酒は水で割って飲むようにしましょう。
二日酔い、悪酔いを防ぐためにも水分摂取が重要です。
その3、食べ過ぎを避け、脂肪は控えめにする
腹八分目が効果的
ラット(ねずみ) による実験で、満腹まで食べさせたグループと、食事量を60%ほどに制限したグループでは、制限をしたグループのほうが発がん率が低く、長生きだったというデータがあります。
また、米国民のがんに対する各種発がん要因の寄与率を推計した研究結果(ハーバード大学、1996年) によると、喫煙が30%、成人期の食事と肥満が30%となっています。さらに、世界がん研究基金の「がん予防のための提言」では「やせと肥満を避ける。成人期の体重増加を5也未満に抑える」としています。
よって、適正な体重の維持は、生活習慣病予防だけでなく、がん予防にも役立つということがわかります。
一方、いわゆる「中年太り」は自然な増加であるともいわれています。5〜10kg程度の増加は、もっと高齢になったときの貯金として考える事もできますが、それを超えているぶんは体重のコントロールが必要になってくるでしょう。
おいしい物も食べ過ぎないように
食事が高脂肪・高エネルギーの国では一部のがんが多く発生し、とくに問題とされているのが脂肪の量です。従来日本人女性の乳がん発症時期は、閉経前6に対して閉経後4 の割合でしたが、最近では5対5になり、アメリカ人女性の4対6に近づきつつあります。原因は閉経期が遅くなったこともありますが、動物性脂肪のとり過ぎが考えられます。
また、脂肪は大腸がん、前立腺がんなどの発生にも関連があることが指摘されています。世界がん研究基金による「がん予防のための提言」には、「高脂肪食品(とくに動物性脂肪) を避け、適量の植物油を使う」とあります。動物性食品に多く含まれる脂肪の過剰摂取は、さまざまながんの危険因子とされています。しかも、免疫細胞の働きを抑制し、発がんを誘発するともいわれています。
脂肪を多くとり過ぎると体重もオーバーしやすいので、適正な体重を維持するためにも注意しましょう。
一方、魚の脂肪成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸) やIPA (イコサペンタエン酸、EPAとも) にはがんを抑える働きがあります。
肉や油脂を一切口にしないような極端なことをする必要はなく、とり過ぎにならない程度に食べましょう。