ガン予防の基礎知識」カテゴリーアーカイブ

ガンを予防するために知っておきたいこと 食材の情報。 ガン患者の多い時代にガンを寄せつけない体をつくるための食事、運動、生活習慣。

飲酒の過剰摂取はガンのリスクを高める

アルコールは発がん物賞と同じ扱い

お酒には食欲を増進したり、気もちを明るくし、リラックスさせる効果をもっています。一方、「体に毒」という面ももっています。
とくにアルコール濃度の高いお酒を飲む習慣がある地域では、食道がんが多いといわれます。強い酒で口腔や咽頭、食道などの粘膜の細胞を傷つけるのが原因だろうと考えられます。

アルコールの害、といえば肝臓病を連想する人も多いでしょう。しかし、世界がん研究の報告書によると、飲酒によって「確実にリスクを上げる」のは口腔、食道、肝臓がん、「おそらく確実」として喉頭、大腸、乳がんを挙げています。
長期にわたって大量に飲み続けたり、強いお酒を好んで飲み続けると、粘膜や消化器官が痛みやすくがん化を招いてしまいます。世界保健機関(WHO) や米国の環境保護庁がそれぞれ刊行している発がん物質に関する報告書でも、アルコール飲料はアスベスト(石綿)などの発がん物質と同等のレベルである、という評価を受けているのです。

日本人での疫学研究では、お酒の寿命に対する影響を調べると(飲酒量と死因別の死亡率)、男性ではもっとも死亡率が低かったグループは「時々飲む」あるいは「1週間に150g以下」のグループでした。これらは酒の種類に関係なく純アルコール量で調査されており、種類別に換算してみると、ビールなら大びん1本、日本酒なら1合、ワインなら2杯程度です。ただし、世界がん研究基金による「がん予防のための提言」では、この半分ぐらいの量です。
もちろん、がん予防の観点からは、飲む量が増えるほどがん死亡率が高くなりますので、飲まないのがベストです。

酒とたばこは最悪の組み合わせ

飲酒と喫煙の相互作用をみると、喫煙男性では飲酒量が増すほどがん死亡リスクが増加しますが、非喫煙着では上昇はみられません。
アルコールには、さまざまな物質を溶かしやすい性質があります。たばこに含まれる発がん物質の吸収を促して、全身に運ぶ役割を果たしてしまうのです。飲酒中は極力喫煙しないようにしましょう。こちらにはたばこの詳しい害があります。

塩分の過剰摂取はガンのリスクを高める

日本は胃がん大国

これまでは高血圧予防のために減塩が強く推奨されてきましたが、がん予防の観点からも塩分は大敵です。胃がんのもっとも大きな原因とされているの塩分の過剰摂取です。
日本人を対象にした疫学調査で、漬け物、いくらやたらこ、明太子などの塩蔵魚卵、塩辛、練りうになどの高塩分食品を頻繁に食べている男性ほど胃がんの発生リスクが高くなることがわかっています。

食塩をなめくじにかけると縮んでしまうことはご存知でだと思います。それと同じことが胃の粘膜でも起きているのです。塩分濃度の高い食品が胃の粘膜を溶かしてしまい、胃粘膜が強力な酸である胃酸によるダメージによって直撃されてしまうのです。

また、高塩分食品は、胃がんの原因になるのではないかといわれているヘリコバクター・ピロリ菌が持続感染しやすい状況を作ることも知られています。「がんを防ぐための12カ条」によると、「1日にとる食塩の望ましい摂取量は10g以下」とされ、世界がん研究基金による「がん予防のための提言(14カ条)」では「l日6g以下」です。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の概要によると平成16年の平均摂取量は10.7g で、日本のがん予防の目標を達成するのはもうひと息ですが、世界の基準に至るにはまだまだハードルが高いのが現状です。東北地方では伝統的に塩蔵食品が多く、食塩摂取量が高かったのですが、徐々に減塩が進んできました。

一方、地域別調査によると、都心部である東京都葛飾区でも東北地方とほぼ同じ量の塩分を摂取しているという調査結果があります。
都会では外食やインスタント食品、もち帰り総菜など塩分が多い食事の回数が多いことが推測できます。減塩は地域差ではなく、個人の心がけが大きいものといえるでしょう。
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塩蔵でなく冷蔵

胃がんの死亡率は世界的に減少傾向にあります。日本では、減塩啓蒙活動の成果のほか、冷蔵・冷凍庫の普及による影響が大きいと考えられています。昔は食品の長期保存には塩漬けが用いられていたからです。漬け物などもこうした保存の知恵だったといえるでしょう。

がんと脂肪

脂肪肪のとり過ぎは、がんの原因に

脂肪のとり過ぎが発がんの危険性を高めることが明らかになつてきました。とくに動物性食品に含まれる飽和脂肪酸(肉の脂身や生クリームなど) の過剰摂取は乳がんや大腸がんとの関わりが深いとされているほか、さまざまながんの危険因子とも考えられています。詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、大量の脂肪を消化するために起こる体の中での反応過程で、発がんが促進されてしまうと考えられています。脂肪の過剰な摂取は、生活習慣病(肥満や高血圧、脂質異常症など)の原因になるほかに、免疫細胞そのものの働きを弱めてがんを誘発してしまうともいわれています。

「平成16年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)では、適正な脂肪摂取量を超えている人の割合は、成人で男性約4割、女性釣5割という結果が出ています。一定量の脂肪は健康に必要なものですが、食べ過ぎには注意が必要です。

肉のかわりに豆や魚を

動物性たんばく質が豊富な食品には同時に動物性脂肪も多いために、肉を減らすと脂肪の畳も減りますが、たんばく質の摂取も減ってしまいます。たんばく質のとり過ぎもがんの発生に問わっているのですが、脂肪のように明らかな結果は得られていません。
たんばく質は体のほとんどすべての器官の材料で、筋肉、内臓などの構成成分です。免疫細胞の材料にもなり、免疫機能を高める作用ももっています。日本人は、大豆や豆製品から植物性たんぱく質を得ています。
動物性との割合はほぼ1対1になっているので、肉食中心の人に比べるとバランスがよく、たんばく質の過剰摂取による発がんの危険性は少ないといえます。
また、諸外国と比べ魚を多く食べる習慣もあります。魚は動物性脂肪を含んではいますが、そのなかにはDHAやIPAが含まれています。これらは動物実験で、発がんを防ぎ、がん細胞の転移を抑制する作用があることがわかりました。肉だけに偏らず、豆・豆製品、魚などを取り入れてみましょう。