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40歳を過ぎたら大腸内検査も行う

40歳を過ぎたら胃の内視鏡検査を受けると紹介しましたが、同じく40歳を過ぎたら大腸内検査を行うことが早期ガンの発見には必須です。

男女ともに40代以上の人は、数年に一度は「大腸内視鏡検査」も受けることが非常に大切です。検査の頻度は、大腸ポリープや家族内の遺伝の有無など、各人でそれぞれ変わってきます。

大腸がんは胃がんに比べると進行が比較的緩やかであるとされているため、大腸ポリープが検査で見つからなかったような方は検査間隔を徐々に空けていっても問題ないと思われます。

大腸がん検診の検査法として、もっともよく行われているのが便潜血検査ですが、便潜血でわかる大腸がんは前述したとおり、かなり進行した状態のがんであるケースが多いのです。

早期の大腸がんや大腸ポリープの段階で早期発見したいのであれば、やはり大腸内視鏡検査が最適な検査法です。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡(大腸カメラ) を入れて、大腸の粘膜全体を観察するものです。がんだけでなく、将来がんに変化するポリープなどの微細な病変も、発見できる確率の高い検査です。大腸内視鏡検査も、一般には胃内視鏡の場合と同じように「つらい・苦しい」というイメージが少なくないようです。

検査を受ける人がつらいと感じるポイントは3点あります。
ひとつは、検査の間中、スコープが肛門を刺激し続ける機械的な圧迫感があること。また複雑に曲がりくねった大腸にスコープを通していくには高い技術が必要です。
内視鏡医の技量によっては、S状結腸や横行結腸でスコープをうまく折り畳めず、内視鏡を押し込まれることで、腹部全体を棒で突き上げられるような痛みと圧迫感が生じることがあります。
3つ目は、大腸内視鏡検査では、胃の場合と同様に大腸の粘膜を広げて観察する必要があり、大腸に空気をパンパンに入れるので、下腹部やおへその周辺に不快な膨張感を感じる、ということです。大腸は、150cmほどの長い管がアコーディオンのように折り畳まれて70cmほどの長さになってお腹の中に収まっています。

そのため大腸内視鏡検査では、大腸の内壁の襲を十分に広げて、ヒダとヒダの間に隠れた病変まで見逃さずに観察することが重要です。上のヒダを広げるために大腸に空気を入れるのですが、鎮静剤を使わない従来の検査では、この時の膨張感による苦痛が強いため、内視鏡医は短時間で観察せざるを得ず、詳細な診察ができないというデメリットがありました。精度の高い検査を受けるためには、大腸内視鏡検査も軽い鎮静剤を利用して十分に観察ができるタイプの検査を選ぶことが大切です。

さらに、一部の病院やクリニックでは空気の200倍ほど吸収の早い炭酸ガスを使用することで、検査後のお腹の張りをなくす工夫をしています。

また大腸内視鏡は胃カメラよりもより挿入に高い技術が必要になりますので、医師の経歴などを確認し、内視鏡検査・治療を専門にしている医師を受診すると安心です。この検査でポリープやがんと疑われる病変が見つかった時は、特殊染色や拡大機能を利用して詳しく調べます。内視鏡で治療可能と判断した場合には、その場で内視鏡治療を行い切除することも可能です。大腸内視鏡検査は、ポリープがまったくない人であれば 2〜5 年に一度くらいでいいでしょう。過去にポリープがあった人や家族内に大腸がんや大腸ポリープの有無がある人は、医師と相談して検査の頻度を決めていきます。

どうしても時間がとれない人のための自分でできる!病院に行かずに行う大腸ガン検査キットも活用しましょう。

40歳を過ぎたら胃の内視鏡検査を受ける

男女ともに40歳を過ぎたら、年に一度、胃内視鏡検査を受けることはガンの早期発見には欠かせません。一般的な胃がん検診の検査法には、先にも挙げた胃バリウム検査の他、ペプシノゲン検査、ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査、胃内視鏡検査などがあります。

ペプシノゲン検査というのは、胃の消化酵素ペプシンをつくるペプシノゲンという物質を調べる検査です。この検査は胃の萎縮(胃粘膜の薄さ)の度合いを調べるもので、胃粘膜の萎縮がある人は胃がんのリスクが高いという、間接的に胃がんリスクを推測するものです。

直接的に胃がんを見つける検査ではないので、注意してください。また胃の萎縮が進んで腸上皮化生という状態になると、ピロリ菌が生息できないほど荒れた胃粘膜となり、発がんリスクが高い状態にもかかわらず、ピロリ菌が消滅してしまうことがあります。ピロリ菌の有無だけを調べるヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査も、

ピロリ菌の有無を調べるだけであるため、胃がん検査としてはまったく不十分です。最近、ABC検診(別名/胃がんリスク検診) という胃がんのリスクを血液検査から推察する検診が行われるようになってきています。ABC 検診とはピロリ菌感染の有無とペプシノゲン判定による胃粘膜の萎縮(薄さ)の程度を血液検査で調べ、胃がんになるリスクをAからDに4分類します。その分類でリスクがあると判定された方には胃内視鏡検査による精密検査がすすめられています。

血液検査のみで行えるため手軽ですが、胃がんそのものを見つけることができる検査ではありませんし、一度検査を受けた方はその後の定期検査に用いることができません。あくまで胃がんリスク検診(リ・ス・ク)であって、胃がん検診とは違います。胃がん検診としていかにも胃がんを血液検査だけで簡単に見つけることが可能だと謳っている事業者もいますので注意してください(自宅で簡単にできる胃がん検診などと宣伝している場合もあります)。

胃がんには大きくわけて、比較的悪性度の低い分化型と悪性度の高い未分化型の2つのタイプがあります。ABC検診は分化型胃がんのリスクを判定しますが、未分化型胃がんのリスクは判定できません。未分化型胃がんの割合が半数近くあるとの報告もありますので、胃がんの半数近くが無意味な検査となってしまう可能性があることにも注意が必要です。

胃のがんを調べるのであれば、粘膜を詳細に直接診ることができる胃内視鏡検査が最適です。よく胃内視鏡検査の欠点として挙げられるのは、口から内視鏡(胃カメラ)を入れるのが「苦しい、つらい」」という感覚です。つらいと感じる理由はおもに3点あります。ひとつは、内視鏡が喉の奥から食道に入る時に、「おえっ」となる嘔吐反射が起こること、ふたつ目が喉にスコープが触れている機械的な圧迫感、そして3つ目が胃の内部を観察するために胃の中に空気をパンパンに入れるため、胃の膨張感や突き上げられるような苦しさが生じる、ということです。

最近では、軽い鎮静剤を使うことで、胃内視鏡検査のこうしたデメリットを克服できるようになってきています。検査を受ける人は軽くウトウトした状態で過ごせますし、検査する内視鏡医も胃粘膜の襲を伸ばして粘膜を隅々まで十分に観察できるのが利点です。胃内視鏡検査には、検診などでも多く採用されている「経鼻内視鏡検査」といって、スコープを鼻から入れて食道や胃を観察するタイプもありますが、この場合は鎮静剤を使わないのが一般的で、検査中の患者さんが苦痛からゲップを頻繁にしてしまうことも多くあります。

そのため、胃の中に空気を十分に入れることができずに、粘膜を十分に伸ばした状態での観察がきちんとできないこともありえます。また経鼻内視鏡は、狭く出血しやすい鼻の中を通すためにスコープが細いのが特徴です。先端についているカメラのレンズも小さく、光源も暗いため、解像度が低い暗い画像になり、視野も狭くなってしまいます。やはり検査の精度という点では、口から入れるハイビジョン画像の胃カメラに利点があります。さらに、ハイビジョン内視鏡であれば広い視野で明るく詳細な画像が得られ、観察においても処置においても、性能が格段に高くなります。

また、健診センターなどで行われている流れ作業での内視鏡検査を受ける際にも注意が必要です。多くの検査数を短時間でさばかなければいけないため、あらかじめ検査時間が短く設定されていることが多く、健診契約のお金の関係から、「生検検査などは行ってはいけない」などと制約も多く存在しており、十分な精度という点で注意が必要です。こうした検査方法や使用機器の詳細にっいても、医師や健診センターによく確認して、納得して内視鏡検査を受けることを心がけるといいでしょう。

胃内視鏡検査で胃がんが疑われる粘膜異常が発見された時は、特殊な薬液で粘膜を染色したり、その部分の細胞を採取して顕微鏡で精密検査を行い、がんの有無などを調べます。胃.がんの進行は大腸がんなどと比べると比較的早いとされているため、40歳を過ぎたら胃内視鏡検査は1年に1回程度定期的に受けるべきでしょう。
以前ピロリ菌がいた方や胃粘膜の萎縮や腸上皮化生があるなどリスクの高い人は特に注意して、厳密にチェックしていくことが大切です。

簡易なガン検診の本来の目的まで理解する

なぜこうした精度に疑問があるような検査が自治体などで「がん検診」として広く行われているのかと、疑問に思うかもしれません。

それは、がん検診がなにを目的としているか、ということにその答えがあります。しかし実は、職場や自治体などで採用されている一般的ながん検診は、「ごく初期の小さながんもすべて見落としなく発見する」ことを目的としているわけではありません。

がん検診の対象となるのは、そのがんになる人数が多く、またそれによって死亡する人が多い種類のがんです。そしてがん検診の目的は、検診によってがんの発見を増やし、さらに適切な治療につなげることで、国や集団全体としてがんによる死亡を減少させることです。

つまり、徹底的に調べ上げてがんを見つけだすことががん検診の目的ではなく、極端にいえば、死亡率に影響しないような小さながんは見つけなくてもいい、というのが、自治体などの一般的ながん検診のスタンスです。集団としてのがん死亡率低下が、目指す地点だからです。

しかし、個人の人生でいえば「小さながんなら見つけなくてもいい」とは、誰も思わないはずです。がんが大きくなればなるほど治療にかかる身体的・経済的・精神的負担は大きくなりますし、ステージが進めば生存率も下がります。がんはできるだけ小さいうちにできるだけ初期のうちに発見するに越したことはないのです。

国のがん死亡率がどれだけ低下しても、自分が不幸にもがんで命を落とす側になってしまったら、まったく意味がありません。そう考えると、がんを防ぐためには、精度の高いがん検査を自ら選んで受け、自分で自分の健康と命を守っていく必要があります。

がんの発生が増える40代以降は、きちんとした精度の高いがん検査を受けることをぜひ習慣にしましょう。特に、胃がんや大腸がんといった消化器のがんでは、専門医による内視鏡検査で定期的に検査を受けることをおすすめします。
胃バリウム検査や便潜血検査はもちろん、人間ドックの高額なPET検査であっても、早期の消化器がんは発見が難しいからです。

適切ながん検査によって早期発見・早期治療につながるといわれているがんは、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5 つです。

臓器ごとのがん検査の検査法などは次から説明していきますが、胃がん、大腸がん、肺がんに加えて、男性では50代後半になったら血液検査で前立腺がんの腫瘍マーカー検査(PSA)を、女性では比較的若い時期から乳がん、子宮頚がん検査を受けると非常に効果的ながん対策になるものと思われます。