菜食主義は大腸ガンの予防に役立つのか?

菜食主義は大腸ガンの予防に役立つのでしょうか。便秘は、大腸ガンにも悪影響を与えるのは周知のとおりです。英オックスフォード大学の研究者による有名な調査では、菜食主義者のほうが非菜食主義者よりも、心肺血管障害やガンの発症が少ないことが指摘されています。

その後、同じチームによっておこなわれた大腸ガンに関する研究結果が2004年に発表されています。この調査は、菜食主義者4653人(男性1597人、女性3056人)、非菜食主義者6345人(男性2565人、女性3780人 を17年間にわたって追跡したものです。いずれの群も、調査開始時の平均年齢は3歳で、17年後の平均年齢50歳の時点で大腸ガンの発症に差があるかどうかを調査しました。

結果は、菜食主義者の群で大腸ガン発痛者は4653人中39人(0.84% )、非菜食主義者の群では63 45人中56人(0.8% )でした。この数値では菜食主義者のほうが大腸ガンの発症率がやや低いのですが、優位な差は認められません。

この調査では、食材による大腸ガンの危険も調べています。それによると、肉類を食べない群より食べる群のほうで大腸ガンの危険率が高まっています。魚に関しては、1週間に1回以上食べる群よりも、1回以下の群のほうで危険率がやや増加しています。

新鮮な果物を週に10回前後食べている群、野菜も多く食べている群、野菜摂取が多くかつライ麦パンを食べている群で、危険率が低下する結果となっています。結局、この調査では、菜食主義者のほうが大腸ガンになりにくいというよりも、菜食主義者が食べている、肉以外の魚や野菜、果物などの食材のほうが大腸ガン発症の危険率が低下することが明らかにされたといえます。

日頃から食物繊維を意識して摂る習慣が重要です。「がんと闘う植物性食品」も同様の効果からガンを抑制するものと思われます。

さらにガン患者たちに評価の高い野草酵素なども酵素ばかりに目を向けられているイメージですが、実は野菜の食物繊維がガンと闘って勝利している部分が大きいように感じます。野菜や果物などは本来、人間のもつ免疫力を高める作用が強いように思います。
もちろん、肉や魚のたんぱく質も重要ですが、これらは少ない量で十分足りるのかもしれません。大昔には肉や魚を食べる習慣はほとんどなかったわけですからDNA的に消化が難しいということかもしれません。